HILLOCK未来日記① 自由進度学習編
クラスには様々な子がいます。算数の苦手な子、漢字の得意な子…。みんなで同じ課題を、同じペースで進めていくというのは、結果として子ども一人一人を置いてけぼりにしてしまいます。
学びの中心は学習者、本来学びとはカスタムメイドであるべきで、少人数だからこそ丁寧に見られます。自由進度学習を導入すれば、誰もが自分にあった課題を選べます。誰とも比べない、昨日の自分と比べることで成長を実感できる、そんな真正の学び。その中で、子どもたちは計画する力ややり抜く力、振り返る力を付けながら、自分自身を知っていくのです。
未来日記
Rくんはパソコンの動画を見ながら、足し算の筆算の仕方を確認している。昨日友達にも教えてもらったけれど、うまく覚えられなかった。もう1度友達に聞いたっていいのだけれど、なんとなく気が進まなかったので、動画で確認することにした。
ノートに鉛筆で書きながら、1つ1つの行程を丁寧に計算していく。昨日はくりあがりを忘れちゃったから、今日のめあては「くりあがりを忘れない」だ。「ノートを横に置いて、実際に書くと覚えやすいよー」と前にシェルパが教えてくれてからは、その方法の良さを実感して、今でも続けるようにしている。
動画は途中で止めたり、巻き戻したりできる。自分のペースで進められるのがいいところだ。ちょこちょこシェルパが回ってくるので、よく分からない時は呼び止めて聞くようにしている。この日もシェルパが回ってきたタイミングで「どうしてもくりあがり忘れちゃうんだけど、なんかいい方法ない?」とRくんが聞くと、「Sちゃんはこうやっていたよ」とアドバイスをくれた。
となりでは、KちゃんとTくんが私立高校入試の過去問に挑戦している。2人でああでもない、こうでもないと話しながら協力して取り組んでいる。盛り上がるとつい声が大きくなるが、周りの様子に気が付いて「シーッ」とお互いで注意し合って進めていた。
「あ、振り返りの時間だ」言ったのはRくん。残り10分になったら、振り返りをすることになっている。間違えた問題を見直して、その理由を探る。大変だけれど、一番大事な時間だ。「この時間に、一番成長するんだよ」と、毎回しつこいくらいにシェルパが伝えている。全問正解だったSちゃんは「めあてが低かったかー」と悔しそう。Rくんはシェルパを呼んで、なぜ自分の問題が正しくないのかを一緒に分析していた。
次の時間は漢字だ。漢字が得意なRくんは2級、苦手なKちゃんは7級の問題を引き出しからとって、算数とは別の席に着く。「よーい、どん」のシェルパの合図でカリカリと鉛筆を走らせる音が心地よく響く。そんないつもの心地よい朝。